Francisco Meza Guzman
Terence Brown
Lean Value Tree(LVT)は、企業の戦略とビジョンを組織全体の全てのレベルとチームに共有・駆動するための概念ツールです。
LVTはポートフォリオマネジメントの強化版で、リーンアプローチ を使用して、価値提供を基礎としたコラボレーション促進します。 LVTは、リーンポートフォリオ にみられる視覚的作業特性を活用し、顧客価値や企業ビジョンと密接に統合した意思決定や構想を導き、時間(と予算)を浪費する構想を回避します。
LVT は以下のようなトップダウンのフレームワークになっています:
ビジョン > 戦略目標 > 賭け > イニシアチブ
企業のビジョンはいくつかの戦略目標に分解され、それぞれの戦略目標はいくつかの「賭け」(訳注:何らかのリスクとリターンが想定される取り組みや計画)として定義されます。そして、賭けは具体的で絞り込まれたアウトカムをもつバリューストリームや構想がボトムアップによって推進され達成を目指します。
LVTの目標は戦略的かつ野心的であるべきで、かつ、会社のビジョンに沿ったものでなくてはなりません。また、それらは戦術的な具体的な解決策やアウトプットではなく、ハイレベルな成果に焦点が当てられているべきです。
各戦略目標は、一連の戦略的な「賭け」に分解されます。「賭け」とは目標の達成につながると会社が考える価値仮説です。「賭け」が機能しない場合、その「賭け」はツリーから外され、企業ビジョンの達成につながらないことに時間を浪費しないようにします。 「賭け」という言葉はVUCA の方法論を使用するための考え方の転換を強制するために、意図的に使われています。
イニシアチブは、関連する賭けの価値仮説を検証するために何をすべきかを定義し、成功を明確に測定する1つ以上の(「賭け」て定義される仮説より)小さな仮説の形をとります。 イニシアチブを通じて、(賭けの)仮説が立証されたか否定されたかを決定するための短期的な意思決定を行うことができます。
イニシアチブはプロジェクトではありません。プロジェクトとイニシアチブとの違いは、前者には期限があり、後者にはないことです。 イニシアチブは、継続的に進化する仮説によって検証し、全体のイニシアチブが証明または反証されるまで繰り返し優先順位付けされるべきです。
LVTは、組織全体に可視化され、リーンポートフォリオ運営委員会で定期的にレビューすることが重要です。 リーンポートフォリオを継続的にレビューすることによってイニシアチブ、賭け、戦略目標を削除、追加、修正することが可能になります。
さらには、LVTは戦略目標、賭け、イニシアチブの実施に責任を持つ個人を各レベルで定義することで、成功へのモチベーションを高めた多様なチームを形成します。
リーン・バリュー・ツリーは戦略的イニシアチブに焦点を当てますが、LVTを戦略的イニシアチブにのみ使用すべきか、それともBAU(Business As Usual)イニシアチブも含めるべきかというジレンマがすべての組織に存在します(一般的にBAUイニシアチブはリーン・ポートフォリオの80~90%を占める)。
戦略的イニシアチブのみに焦点を当てることで、戦略的ビジョンのより良い実行が可能になりますが、BAUイニシアチブを除外することで、それらのビジネスユニット間の不調和を引き起こし、戦略的イニシアチブの達成に向けたモチベーションの欠如につながる可能性があります。
組織の規模によっては、戦略的ビジョンに貢献する取り組みであれば、リーンポートリオを100%含める価値がある場合もあります。 これは一般的に中小規模の組織では実行可能です。 大規模な組織では、戦略的または BAU イニシアチブを組織の特定の領域(エグゼクティブチームの戦略的イニシアチ ブなど)に集中させます。 最も重要なことは、戦略的であれBAUであれ、ポートフォリオ全体でLVTを使用することで、組織のイニシアティブのアプローチの一貫性を確保することです。 リーンバリューツリーは、リーンポートフォリオを管理するための優れたツールであり、組織内にアジャイル適応能力を追加する鍵となり得ます。 また、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)と連携してデジタルトランスフォーメーションに取り組む絶好の機会であり、PMOのプロジェクトにおける従来の焦点を、LVTを使用した仮説に賭けることにシフトさせることができます。
Further recommended reading: EDGE: Value-driven Digital Transformation by Jim Highsmith, Linda Luu and David Robinson.
リーン・バリュー・ツリー をチームや顧客、ステークホルダーと実施するにあたりより詳細にお知りになりたい場合は、以下のリンクを参照してください。