例えば、以下の果物を食べるのがどの程度難しいか見積もるように求められたとしましょう。(果物を食べるには種を取る、皮を剥くといった工程が必要になります。)
相対見積の手順:
- ストーリーポイントを使用する場合、最初にやるべきことは相対見積の基準をチームで合意して設定することです。ここではぶどうを食べる難しさを基準の1ポイントとしてチームで合意します。
- 他の果物をぶどうと比較します。
- りんごは芯を避けて食べる必要があるため、ぶどうよりは若干難しいと考えられます。りんごは2ポイントとしてチームで合意できるでしょう(※)。
- オレンジとバナナは皮を剥く必要があるため、ぶどうやりんごよりも難しいと考えられるので、これらを3ポイントで合意できるでしょう。
- ココナッツを食べるには硬い殻を割る必要があり、より多くの労力が必要ですので、これを8ポイントで合意できるでしょう。
※ りんごを丸かじりで食べるメンバーにとって2ポイントは妥当な数値です。一方で、りんごとは皮を剥いてカットしてから食べる果物だと考えるメンバーもいるかもしれず、そのようなメンバーにとってポイントは3か5が妥当です。メンバー間で想定ポイントを話し合う際に、メンバーによって想定ポイントが大きく異なることがありますが、このときメンバー間で前提や想定する工程の認識に大きなズレが生じている可能性が高いです。自分が考える見積の根拠や前提を話し合うことで、認識がズレたまま後工程に進むことを避けることができます。皮剥きとカットの他にも、例えば下記のような背景によりポイントの修正が必要になるかもしれません。
- 誰かがココナッツの殻を割る道具を持っているため、それほど労力が必要ではないかもしれません。
- オレンジには種があり、バナナよりも食べるのが面倒かもしれません。
大規模な計画作りで役立つツール
過去に見積済みのリファレンスストーリー(できれば実際に作業を完了しており見積の妥当性が検証済みであることが望ましい)を基準に見積もることで、素早く簡易な見積を得ることが可能になります。活動のサイクル(スプリント)に併せて見積を繰り返すことで、チームは見積の妥当性を学習し、より正確な見積を体得していきます。
例: * チームリーダー:新しいストーリーAは過去に取り組んだストーリーBの3ポイントより大きいと思いますか?
- メンバーの回答がYesの場合 -> チームリーダー:では、別の過去のストーリーCの8ポイントよりも大きいでしょうか、大体同じサイズでしょうか?
- メンバーの回答がNoの場合 -> チームリーダー:では、3ポイントとします。
Tips for remote working
- リモートであっても大きく異なる点はありませんが、オンラインに最適化された見積ツールや投票ツールの活用は検討すべきです。
- ストーリーが大きすぎて実装が複数のスプリントにまたがる事は避けるべきです。ストーリーの分割を検討しましょう。